『湖畔の漂着物』

 子どもたちがする、外の世界から流れてきたものを見つけて言いあう遊び。
 あれは、なんだか淀んでる
 これ、きらきら!
 こっちのぎらぎら
 あそこには、ぐるぐるうずまいてるのが
 にがにがしい
 無色透明無味無臭
 きったない!
 どすぐろい
 甘ったるーい
 あったかーい
 美しい
 それ好き
 ぼくも
 ほどけてく
 ねえ、ことばは水より重いかな?
 ことばは水に溶けるかな?
 塩味のしない、大量の涙の中を、すいっ、すいっと流れていく子どもたち。


(500文字の心臓 第134回タイトル競作のタイトル)