「笑い坊主」の回の反省

「──って知ってる?」
 長いこと構図が決まらない屏風上手坊主に、モデルの坊主がポーズはそのままに話しかける。
「だれ?」と聞き返した後、筆を持ったまま返事も待たず「ちょっと休憩」と縁側から出て行った。と思ったら庭の畑で問っている。
「君、知ってる?」
 葱坊主が首を振る。
「そう」
 くるりと反転すると、今度は軒下にぶら下がっているてるてる坊主を見上げて問う。知らんと体を揺らした。
 屏風上手坊主はまたまた反転、外へ駆け出す。息が切れ、道が途切れ、潮騒がし出す。舟に乗ってどんぶら行くと、ぬうっと出てくる。
「わしゃ知らぬ」
 海坊主は聞く前に答えた。そこら辺はつーかーの仲である。
 てくてくと帰りの道、ホオズキたちが知らない知らないと鳴った。
 部屋に戻るなり、隣の部屋へ通じる襖を開ける。茶坊主が茶を立てている。
「私は知らんぞ」
 顔も上げず言った。即、襖を閉じ、また別の襖を開ける。すると今度は炬燵に入った生臭坊主がてっちりを食っている。「俺が知るか」
「ああもう!」
 屏風上手坊主、縁側から禿げ山に向かって大きく叫んだ。「Do you know──」
「No!」
 山にもつれなく返されて、ふんと鼻息荒くモデルの坊主に向き直る。
「葱坊主もてるてる坊主も海坊主も茶坊主も生臭坊主も丸坊主もみぃんな知らないって、嘘つき坊主!」
 ぐっと睨みあうこと五秒かそこら。
「だって、僕だよ」
 小声で呟き、しゅんと俯くモデルの坊主。
「うっそだあ」
 屏風上手坊主がからから笑い、俯いた口の端がにたりと上がる麗らかな春の一日。





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500文字にはちょっと長い。
上手屏風坊主から、屏風上手坊主にしてみた。上手屏風坊主のほうが言いにくかったかなー。
ていうか三日坊主忘れた三日坊主忘れた三日坊主忘れた……ああ、三日坊主を抜かすなんて!
というのが今回の反省の七割です。
二割は変なところに改行入っていたこと。
一割はその他。
ラストが微妙に微妙を重ねたというか微妙を並べた感じなのは……こういう風味ですと開き直ることにしよう。
っていうのが反省の裏側で、
反省の表側は、早く書く。早く書き始める。期限内に書く。それで十割。