「もう寝るよ。」

 もっかい、ってそれさっきも、その前も言ったろ、ほらほらパパの方が寝ちゃいそうだ。昼間にはママに読んでもらって、自分でもくりかえし読んで、おまけに散歩にまで連れてってくれて、きみがこのお話のコブタ氏をお気に入りって気持ち、僕だってよーく分かるけれど。コブタ氏はほんといいやつなんだ。絵本君はうとうとしながらつらつら考える。
「パパ、もっかい」
 今日十何回か、もしかしたら二十何回か開けられた絵本の一枚目を小っちゃな手がふたたび開く。うーん、もう一回だけだぞ、今度読んだら今夜はおしまいだからな。子どもにっこり。パパは最初のページの題名を読もうとする。絵本君はぐーんと伸びをして、
 パッタン。
「あれ?」
 パパと子どもは顔を見合わせる。絵本君、ふたりを置いてコブタ氏に会いに行っちゃった。

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投稿作はママだったので、パパバージョン。中途半端に子どもさん向けふうになった。