禁止する看板

 朝、その看板は考える。看板とは周りに厳しく、己には更に厳しいものなのだ、と。
 昼、その看板は考える。しかし看板とは矛盾を含んでいるものなのだ、と。
 夜、その看板は考える。なんだって私は看板なのか、と。
 月は見えないが、街灯のじいじい言う白い光に照らされて、文字が読める。「この地区には看板を立ててはいけません」

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自分の中でのささやかな(?)戦いになりました。
第91回の競作のタイトル案「禁止する看板」。