「四つ、ひみつの話」

つるとつるはし


 うしろで、つるが、じっと、振り上げられたつるはしを見ている。
 おやおや、似ているな、と思いながら。
 その距離、五十メートル。とりは目が良く、用心深い。
 そうして、ひとがつるはしを振り下ろし、カツン! と言わせるのを見る。
 つるは、ゾッ! として、飛び立ちもせず、持ちあげていた片足を、ついつい下ろしていた。


泳ぐリュウ


 空を流れる川は、滝と呼ばれる。
 そこを泳ぐ魚は、リュウと呼ばれる。
 呼ばれても、返事はしない。ひげは長い。
 リュウは、滝だけでなく、雲も泳ぐことができる。
 リュウが泳ぐと、ひげも泳ぐ。その全身で泳ぐのだ。
 けれど、目だけは、泳がない、と、リュウは言い張る。
 返事はしないのに、言い張ることはする。


ポストとキイロ


 ポストはよくお腹を壊すし、しろい月はくすぐったいのをよく我慢する。
 ポストの口に、誰かが、うそを投げ入れるから。
 ひょいっと、なにげなく、気付かずに、確信をもって、たびたび。
 ポストは腹を立てて、若かった昔、すっくと立ち上がって、いまだにそのまま。
 やってられない、と、舌を出してみる。
 べえ。
 ひとは嘘を出し、ポストは舌を出す、というわけだ。
 嘘はうちのやうちの隣のポストへ届き、舌は月まで届く、というわけだ。
 ところで、きいろい月は我慢できずに笑ってしまう。


うさぎとはがき


 時々、舌じゃなくて、はがきが来る。
 往復はがきだったなら出席とか興味がないとかに丸をつけてうさぎたちはそれを送り返すし、年賀状や暑中見舞いなんかだったら食べてみる。
 うさぎめえめえ、
 なんて言っても月じゃ聞こえない。まるで秘密。歯型でけずれた四角い秘密。
 味はいまいち。






 コトリの宮殿-1回「つるはし」「ポスト」「滝」でおしかった話「つるとつるはし」改造版です。
 今ごろになって出したのは……よそのサイトさんがされていたので今のうちだとばかりに真似です。今のうちっちゅうか、改造している間にだいぶ出遅れましたが。(笑)
 つながりが薄いというお言葉を頂きました。いや、ええと、正確に言うと、はい、コピってきました。「結びつきがゆるい上にお題のことばの連携も少な」い、です。ですよねーと思います。本当、結びついたらよかったんですが。今回、五段あったのを三段にまとめて四つ目を足しタイトルをそれぞれにつけて更に全体のタイトルを変え、もはやうやむや風にしました。逃げです。追われてないのに!
 いえ、お前いったい何作投稿したんだっていう問いには当サイトは断固として首を横に振り続けます。


■ 追記
星ありがとうございます。
「が」じゃなくて「を」だったという誤字があったのはきっと五つ目の秘密だ。