「気がつけば三桁」

投稿作と、変更ありません。あ、あった。どこぞに「つき」が入りました。


「気がつけば三桁」


　どうしたものか。
　うっかりしていた。いや、本当はぽうっとしていたのだけれど。
　正午が僕の仕事の時間だ。明日の日付を記すのだ。それが今日は書き込もうとして三桁目を書く欄がないのでやっと気づいた。８月９９日。ちゃんと見れば、すぐ横に掛けてある月めくりのカレンダーが８月だけべろんと長くなっている。まったくもって僕のせいだ。
　人間たちはいつも通りやっているようだった。辻褄は合うようになっている。２月だって、ひと月だけ２８日までしかない。それにしたって９９日はない。現在それが常識になっているわけだけれど。８月だけ９９日まである理由がどうなったかなんて、僕は断じて知りたくない。
　上を見れば、太陽は一応照っている。なんだかそっぽを向いてしまっているので表情は分からない。が、空はもう、自信のなさげな、よく分からない顔つきだ。去年の今頃はどんなふうだったか思い出せないのだろう。そりゃそうだ。僕のせいだ。夜になったらまた戸惑った星たちがいくつも並ぶのだろうか。
　ああ、やっかいなことだ。恋は盲目。この長い８月、僕はひとつの風鈴の音色だけをぽうっと聞いていたのだ。いくらなんでも明日から９月だ。そして秋がやってくる。どうしたらいいんだろう。



「500文字の心臓」タイトル競作。

　正体が分からん、と何人か言われた（あ、掲示板で私の選評やコメントの雰囲気そのものだと言われてしまった。えへ）ので、500文字の掲示板に書き込むときに書こうかと迷って、書かないことにした。で、ここに。

　作中の日付係氏は、書き手の「つもり」を言うと、妖精で……しょうか？（聞くな。あ、妖精さんといえば、個人的には田中ロミオ『人類は衰退しました』が浮かぶ。好きである）。日付の精。
　日々、日付が変わるという現象に、人格を付けたというか。あ、日付の擬人化かな。
　ありえない三桁がいい、本来三桁にはならないものを三桁にしたいと思って日付なのですが、ありえない（というか、本当はいない）人物（妖精ですが）を書くのも楽しいと思って書きました。
　そういや、読まれたときに「いや、誰だよこいつ」って思われたら楽しいなと思ったような気がします。もう少しあからさまに、「いや、誰だよこいつ」感が出てもよかったのかな。
　何者のつもりで書いていたのか、の話でした。

　それにしたって、まったくもって、いくらなんでも、そりゃそうだ、と調子のよさげな言葉ばっかり使ってしまって、うっとうしいかなーとも思ったのですが、いや、何かがちょうどよかったんでしょうか。ありがとうございました、でした。いっぱいもらったよ。次点差じゃないなんて！
　掲示板で、うわー、なんだか持ち上げてもらえるなぁ……、と思ったら、今年、三度もらってました。ええと、逆選王。ちなみに、今年しかもらってないです。
　そうだ。掲示板で頂いた言葉にお返事したい気持ちがあるのですが、お題決め終わってしまったので（ほら、小心者め）、その上、上手く言葉にならない。でも、御礼は。どうもありがとうございます。（だからここで言うな。（気持ちの問題なのです。ほら、これで私の気が（半分くらい）済んだ。←なんてだめな。
　あ、正体以外の、書き手のつもりの続き。
　……を次に書いていたのですが、混迷してきたので……、
　またね！（おい。