「あとひとつ」

 雨上がり一人つぶやく。あなたの左手掴んだままに。
 明るい光の粒々が、紫陽花にひっついている。
 青色の日傘は杖にするには短かった。
「会うのよそうか」
「ひどい男」
「つまらないよそれ」
「あーあ」
「暇だよな、俺たち」
「つまらない男ー」
 秋の日はつるべ落とし。
 あなたとはひたすらつるべ落とし。
 赤色に光る信号機まで、曲がり角があとひとつ。


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三里さんところの「創作家さんに10のお題2」より「4:あとひとつ」
「あ」と「ひ」と「つ」。
反省:「短かった」「信号機」「曲がり角」のあと三つでした。
なかなかに。もっと意味捨てて「あ」と「ひ」と「つ」で突っ走ったらまた面白げな気がします。あ、ひたすら会話文にしたら更に楽かもな!