「うさぎの寝言」
三年前にうちにやってきたうさぎが、なんだか最近うなされている。
──ううう……。
うさぎもゆめをみるのだろうか。うすちゃの毛をふるわせて、なんだかかわいそうだ。今、かいぬしである娘は修学旅行にいっている。わたしはコーヒーを飲みながら、ねむるうさぎのそばになんとなくついている。
──ううう……。
またうなっている。
うさぎには名前がついているのだが、わたしは知らないのだ。娘はいつもうさぎにささやき声ではなしかけていた。
──う……わたしは、じつはうなぎです。ごめん、りっちゃん。
りっちゃんは今、京都だ。わたしは途方にくれている。うさぎのようすに気をとられてうっかりこんな時間にコーヒーをのんでしまった。
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三里さんところの「創作家さんに10のお題2」より「1:うさぎの寝言」