巡る季節

「夏が来る」


 夏が近づいて来た! というか、もう今日は、隣の隣の町まで来ていたぞ……。捕まらなくて本当によかった。どうもわたしは居眠りが多くていけない。今夜中に引っ越さなくては。追いつかれたら居眠りどころか永眠だな。あっはっはっ!
 梅雨がいなくて、夏にも見つからない場所へ。夜の浅い時間、忘れられた窓のレースのカーテンにもたれかかり、春はうっとりと次のすみかを想像し、こっくりし出した。





「夏前の午睡」

 なんといってもまあまだ夏本番ではないのだしと言い訳をしながらエアコンが壊れたのを放置しているのが悪いのだが、夜、寝苦しい。なかなか寝付けないのだ。それというのも西日の差す部屋に住んでいるからであって、仕事から帰って、アパートのドアを開けると、もわっとした空気になんだかもうがっくりする。これじゃ外の方が涼しい。窓を開けて寝るが、風はかすかだ。
 そのぶん、朝は、さわやかである。朝日が入らないので、100%涼やかで、まだまだ眠っていたいという気持ちで目覚める。
 そして仕事場は洞窟なので、それはもうひんやりとしている。昼後など、夜の寝不足も手伝ってつい眠ってしまう。私だけでなく、同僚もたまに、課長までもよく机に伏せているので、たぶん問題ない。