K

勝手なことをと、君は雲の巣を蹴飛ばした。怖がったふりの彼女たちは黄色くきらきらと煌めき暮れ、煙と消える。くすくすけれん味のある声が口内で木霊する。君と雲との結婚は叶わず、鞄を担ぎ、傘で舵を切り下降する。乾いた風がかたかたと欠けていくと、彼女たちは簡単に固く結束し降雨する。階下で歓喜したのは黄色の菊、気まぐれに貝を配り傍らでは鶏頭が紅に懸想、栗は胡桃に胡桃はクスノキクスノキはキンポウゲの気持ちにカーネーションったら気づいてくれない。コングラッチュレーション! 乾杯だ。カラフルな彼らの気苦労に霞がかる。零れる期待。かいがいしい狐、君に貸したキビスを返して欲しい。金色にかがるかぐわしい啄木鳥、君に貸したキスを返して欲しい。風邪っ引きのキングギドラ、君にはキを返してもらって欲しい。きらびやかな郭公の格好の雉、きび団子も金太郎キャンディもからきし家人のカラオケ聞かぬ河童君に貸した肝心の胡瓜も神隠し気分。食いかけの悔いのかけらから転がるけたたましい家来たち、剣玉で決闘する。けったいなけんけんぱ繰り返し、決着は警ドロで。継続して蹴鞠を決行、結局はケイトが決める。九時に帰宅する子どもたち、「こんばんは」「こらこら!」割烹着の家政婦の方々かなり雷、かたこと小言にくたびれて、微かな母さんたちと草野球。陰に隠れていた家事をかじるカバ買い物袋を構える。今夜の献立、蕪、茸、栗きんとん、健康的な、コバンザメ。片っぱしから片づけくちく、コーヒー片手に煙くゆらせ嬉々として口々に机上の空論。唇でくすぐられる九九ども苦しげに崩れ、海月と化し、個々に暮らすこととなり、黒板は空席気味。キャンセルの客船絡げ海流を掻きまわすカジキマグロの勘と可能性の回遊をかなた北に観測し、こちら濃いコバルトブルーの岸辺、蟹が闊歩する河川凍り、カイロを抱え解凍重ねる。交互に輝く金星と火星、禁じ手の可愛い胡蝶をカンテラで飼う。枯れたので改装した蜘蛛の巣にかかった恋人と語らい、狂おしく小指を切り、香ばしいカステラの完成叶う、けれどもキリマンジャロにくくられたくす玉くまなく朽ち、車のクラクションで起床し消えるこのような小僧の小話、「金輪際困るんです」「きっと来て」勤務中にコピー機故障構わず駆けてく急カーブ懲りないこいつの恋路、近所の喫茶店で木苺ケーキを噛む、会計は彼女が来てから。キリのない今日は快晴。

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110回タイトル競作「K」
千弱。だらだらと緩い。緩いところがだいぶ緩い。
dは抜かした。
cほんとだ多すぎた。
k入っちまいました。元のにKが入ってなかったのはたまたまです。(笑)
「キ」のところでキネシクス入れてみたかったけど、意味見たらちょっとずれそうだったしどこに入れるんだってんでやめた。言葉を使わずに伝達するんだと。いや、「言葉を使って、伝達しないのが当作でございます」?(笑)
全部読んでみた方、いらっしゃったらお疲れ様。ありがとうございます。