星と願いごと

「何してるの」
「お願いごと。お星様に」
「ばかだね。お願い事はもっと近くにするものだろ」
「近くって?」
「そうだねえ。じゃあこのカンカンをあげよう」
「あ、空っぽ」
「こないだ食べただろ。この中に目がけて毎日お願いするといい」
「そうしたら叶う?」
「いや。お願い事がお星様になるよ」
「え?」
「ある日、小さなお星様がカンカンの中に出来てるよ。続けてお願いしたら大きなお星様になるだろ」
「宝石みたいな?」
「いろいろだね。石ころみたいなのかもしれない」
「振ったらカラカラ鳴る?」
「そんなことしたら嫌んなって逃げちゃうよ」
「ふうん。でも、おばあちゃん、お願いごとは叶うの?」
「どうかな……。それはまた別のお話」
「意味ないよ、それー」
「そう? きれいだよ。みんなが上に向かって願いごとするもんだから、あんなに星が出来た」
「お願いごとって光るんだね」
「光らないのは見えないだけのことだよ」